シチリアの象徴 トリナクリア
シチリアのシンボルでもあるこの3本足の奇妙なキャラクター。 これは“トリナクリア”といって古代シチリアの象徴として現在でも使われています。 シチリア島は古代ギリシャ人から、先住民のシクリ人の名をとって“シケリア島”と呼ばれていました。 しかしもう一つの呼び名として“トリナクリア島”とも呼ばれていたのです。 またトリナクリアとは古代ギリシア語で、三つの岬を持つ島を意味しています。 つまり大きな三つの岬をもつ三角形をしたシチリア島を人間の足で表わしているということなのです。 さらに三本の足は春・夏・冬を象徴していているという説もあります。 おそらく元来は4本足の卍形に起源を持っていたのもが、トリナクリアという言葉の持つ意味から足が 一本減らされたのだ、ということです。秋が欠けているのはシチリア島では秋がはっきりと区別できる 季節ではないため、だと考えられています。 中央の人の顔は東地中海の『地母神メドウーサ』(目を見ると石化してしまうという神話の)です。 ギリシャ神話では邪神として悪の権化にされていますが、シチリア島では伝統芸能の人形劇などで 今でも使われています。 一方で資料よると、ギリシア神話の『太陽神ヘリオス』の棲家がシチリア島でにあったことから、 トリナクリアは太陽を表わすとも考えられているそうです。 このように様々な由来があるこのトリナクリア。たくましく筋肉が隆起する足で自在に駆けめぐるこの太陽は、 まるで異次元の狂った怪物のようにも見えます。