掛け軸の製作(作業順序)

皆さんのお宅には記念品やお土産に頂いた拓本、色紙、受賞した習字の作品等
どのようにされてますか。せっかくの思いでの品を物置やタンスの肥やしにしてませんか。
掛け軸にして部屋に飾りましょう

目  次
1.本紙の裁断、裏打ち 9.八双の取り付け 
2.軸の割り出し(各部の寸法を決める) 10.軸棒の取り付け
3.継ぎ立て11.鐶(カン)の取り付け 
4.整形,端折り12.紐の取り付け 
5.袋つけ13.裏摺り 
6.八双と軸木14.掛けならし
7.総裏打ち 15.紐の結び方
8.端の切り落とし・色紙掛けの寸法 ・表装用具及び材料


1.本紙の裁断、裏打ち
 本紙(ホンシ)の大きさを決め裁断し,肌裏打ち(ハダウラウチ)をする。
 1)肌裏打ち紙を本紙より縦、横1.5〜2cm大きくとる。本紙の繊維方向に
  直角なるようにする。
 2)本紙のしわ伸ばし

  ・台マットをきれいに拭き新聞紙を敷く
  ・新聞紙の上に本紙を裏返しに置く
  ・霧吹きにて全体にまんべんな 30cm程離して霧を吹く
  ・しばらくして
  ・きれいに拭いた台マットの上に本紙を移し裏を上にして直接く、
   または新聞紙を取り除きマットを拭き直接裏を上にして置く
  ・本紙の裏をすじかい刷毛で中心より外に向けて擦り,紙とマットの
    間の空気を追い出すようにしながらし、本紙のしわを伸ばす
  ・しわや空気が残るときは本紙の端を持ち上げ,擦りながら下ろす
  ・丸棒を使用し移動しながら肌裏打ち紙を下ろしてもよい
 3)肌裏打ち紙の糊付け
 
  ・肌裏打ち紙を本紙の上に置く、繊維方向が縦・横になるようにし、表を上に糊付け面が裏に
   なるようにする
  ・肌裏打ち紙の端に黒く鉛筆等で印をつけて置く(濡れても紙の端が分かるように)
  ・糊付け用マットを半分隠すように上に置く
  ・出ている側の肌裏打ち紙をおこしマット上に折るように置く
  ・裏打ち用糊を肌裏打ち紙の裏側に塗る   
  ・何回も刷毛を返し糊をたっぷりと確実に塗る
  ・糊の塗り終わった肌裏打ち紙を本紙の上に戻し,刷毛でしわを伸ばしなが空気を押しだし,
   確実に貼る
  ・反対側に移る
  ・張った側に新聞紙敷き(縁は折ってまっすぐに)、その上にマットを敷く
  ・残りの側の肌裏打ち紙を起こしマットの上に置く
  ・糊を塗る
  ・本紙の上に戻し刷毛で押さえる
  ・マットと新聞紙を取り除き、新しい新聞紙を全面にかぶせる
  ・新聞紙の上から打ち刷毛で丹念に叩く,肌裏打ち紙に新聞紙の黒が付くようなら他の紙を使う
  ・3〜4分待って新聞紙をはずす
  ・新聞紙に肌裏打ち紙が剥げてくっついて来ないよう注意しながら剥ぐ
  ・再度刷毛にてしっかりと擦る
 4)仮張り
  
  ・しばらくして,まだ乾かないうちに
  ・裏打ちした本紙を台マットまたは化粧板
   (表面がつるつるした板)に移す
  ・本紙の表を上にしてマット上に置く
  ・初めのマット上で行うときはマットの表面をきれいに拭う
  ・本紙の縁に沿って長く二つ折りにした新聞紙を上下に置く 
  ・肌裏打ち紙を本紙の縁を境にして起こし,新聞紙の上に折る
  ・中央付近に短冊型の紙,へらさしを置く(剥ぐ時の用意)
  ・縁から外のマットに糊を塗る,糊はヤマト糊2倍薄め
  ・へらさし部には糊は付けない
  ・肌裏打ち紙を戻しマットに糊付けする,刷毛で擦るときは新聞紙を
   外さないで行い本紙に糊を絶対に付けないこと
  ・上下,左右の順に四方を糊付けする
  ・この状態で乾燥を待つ

 

 



2.軸の割り出し(各部の寸法を決める)
 1)本紙の大きさを決める
  ・肌裏打ちした本紙を仮張りより剥ぐ
  ・字・絵等の大きさ,位置を見本紙の大きさを決める、左右両側の空きは
    同じになるようにする
  ・横幅は出来るだけ小さくした方が作業し易い
  ・カッティング定規を使ってカッタ−ナイフで周りをカットする、定規が動
   かないようしっかりと固定する

 2)各部の寸法を決める(茶掛け)
  ・本紙の大きさを基に各部の寸   法を割り出す
  ・全長を1300〜1400
   mmがよい
  ・一文字上 −− 幅40mm、長さ本紙の幅長
  ・ 〃 下 −− 幅25mm、長さ本紙の幅長
  ・柱    −− 任意にて可、幅40mm,
            長さ本紙の+一文字
    上下寸法でmmが出るときは切捨てcm単位にして
    よい
  ・全長より柱の長さを引いた残りが上下の余白
   (中回し上下,天地)となる
  ・余白部分の60%が(中回し上)+(天),
          40%が(中回し下)+(地)となる
  ・上部余白部分は中回し上が1/3,天が2/3の
   割合の幅にする
  ・下部余白部分は中回し下が1/3,地が2/3の
   割合の幅にする
  ・中回し,天地共長さは(本紙)+(柱)×2
  ・八双   −− 幅20mm,長さ(本紙)+(柱)×2
  ・軸袋   −− 幅30mm,      〃
 
 ◎ 標準掛けの場合は全長1800mm±50mm,柱幅50〜60mm,
   その他の寸法は茶掛けの割り出しと同じ
 3)柄紙の切断,裏打ち
  ・各部に使用するどんす紙を選定する,柱・中回し(柄どんす)と天地(無地どんす)は同系色
   にするのがベタ−
  ・本紙が黒っぽい物は茶系統,字等で白っぽい物は青系統が良さそう
  ・一文字用柄どんすは使用量が少なく幅が狭いので数本分一緒に作るのがよい
  ・柱と中回しの絵柄がそろうように紙取りする
  ・柱の幅は継ぎ立て糊代分5mm多くしてもよい
  ・どんす紙は高価なので無駄の無いよう紙取りを考える
  ・各紙とも一辺10mmていど余分に取る,破れたりしやすいので
  ・各柄紙とも本紙の裏打ちに習って肌裏打ちを行う,八双・軸袋は張らない
  ・柄紙の水打ちでは刷毛で裏面を強く擦らないこと,紙が弱く剥けやすい
  ・水は多めに打ちゆっくり伸ばす,柔らかな刷毛で
  ・肌裏打ち紙は柄紙より1cm程度大きく取る,無駄に取らないこと
  ・水糊はたっぷり使用する
  ・一文字,柱などの小さなものは裏打ち状態で乾燥させてもよい
  ・中回し,天地等大きなものは仮張りして乾燥させた方が良い
 4)柄紙の裁断
  ・一文字の上は継ぎしろを加えて40mm,下は25mmに裁つ,横は本紙に継いでから余分な分を
   裁ち落とす
   からそのままでよい
  ・上下の模様が逆に継がれることのないよう,裏面に印を付けて置く
  ・柱は幅40mm(本紙の大きさにおおじて自由)に裁つ,長さは継いだ後で裁つ(継ぎ立て分5mm
   多くとってもよい)
  ・継ぐときに模様が左右同じ方向になり,中回しの模様と同じ方向になるよ裏面に印を付けて置く
  ・中回しは茶掛け(総丈1400mm・ 夕焼け小焼け)の場合は継ぎ代を加えて上が180mm,
   下が120mmに裁つ,横の長い分は継いだ後で裁断するので両側5mmづつ長く取る
  ・裏面に柱と模様の方向が合うように印を付ける
  ・天は350mm,地は240mmに裁つ(総丈1400mm・夕焼け小焼け)、
   長さは中回し同様10mm長く取る

 

  



3.継ぎ立て
  新聞紙を横長に四当分したものを用意する,10枚以上
 1)一文字上下の糊付け      
  
  ・一文字を本紙の幅に合わせて直角に切断する,
   長めに切り接着後カットしてもよい
  ・本紙の表を上にして置き一文字の柄の上下を確認し
    裏面を上にして乗せる
  ・一文字の縁を本紙の縁より5mm中に待針で固定しな
   がら置く
  ・帯状に切った新聞紙をその上に置き一文字の縁が
   5mm出るように置く
  ・待針を新聞紙の上に移して固定する 
  ・5mmづつの糊代に糊をつける,糊は仮張り用糊を
   2倍に薄めたもの
  ・薄めた糊はよくかき混ぜ粘り気をだして使用する
  ・糊はたっぷりと均一に塗る
  ・待針を外し新聞紙を外す
  ・一文字を静かに持ち上げ,本紙の糊代の内縁に沿って10〜15cm間隔に待針を打つ
  ・待針に沿って一文字を端からのせていく
  ・張った部分の両側を待針で固定する
  ・新聞紙(横長に切ったもの)を上に置き水分を取る
  ・待針を外す,必ず紙を指で押さえて行うこと
  ・本紙を動かし,作業板に付いた糊をよく拭き取る
  ・接着部分を手の平でしっかりと押さえる
  ・本紙を回して他の側を張る
  ・作業板に水分,糊気がある時には下に新聞紙を敷く
 2)柱の糊付け
  ・柱の長さを決め裁断する,一文字の上下を加えた長さ
  ・裏面の印を確認し上下左右を間違えないように
  ・一文字の糊付けにならって接着する
 3)中回しの糊付け
  ・中回しの幅を両側5mmづつ多く取る
  ・裏面の印を確認し上下を間違えないように,柱の柄の向きと一致するように
  ・一文字,柱の糊付けにならって行う
 4)天地の糊付け
  ・天地の幅を両側5mmづつ多く取る
  ・中回しの糊付けにならって行う
  ・各部の糊付け部は手の平でしっかり押え,未接着部が出ないように注意する

  


 


4.整形,端折り
 1)整形
  ・本紙と柱の境界を基に柱の一番狭いところまでの幅を基準にして長定規を
    合わせカットする
  ・反対側も同じ方法でカットする
  ・天地の幅が同じになっているかどうか二つに折って確認する
  ・本紙の中心線を基に両側の幅を決めるのもよい
  ・印には針先でホシを打つ
  ・二つに折ってホシを合わせはばを決める
  ・カットするときホシに待針を打って定規当てにするとよい
  ・定規をしっかりと固定する
  ・カッタ−はねせて使用する
 2)端折り
  ・掛軸を裏にし端より6mmの所に印をする  
  ・印に合わせ定規を当て,金ベラで筋をつける
  ・定規をそのままで金ベラで端を起こす
  ・折り線から外側を内側に折る
  ・金ベラでしっかりと折りぐせをつける
  ・折り目から内側に糊をつける(半糊)
  ・折り線がくずれないように気を付けながら折る
  ・はみ出した糊を拭き取りながらしっかりと押さえつける
 

5.袋つけ
 
 1)八双袋付け
  ・軸の裏面に上から4cmの幅線を引く
  ・裏打ち紙を所定の大きさに裁断するが軸袋と一緒に裁断
   するのがよい(裁断面を食いさきにするため)
  ・裏打ち紙は幅は軸幅より両側0.5mm程度短く,長さは
   6.5cmに取り幅の片側を食いさきにする
  ・裏打ち紙を横に2.5cm(食いさき側)と4cmに正確に二つ
   折りする
  ・折った裏打ち紙を食いさきのある2.5cmの幅を上にし,
   軸に引いた線に折り面を正確に合わせ,軸の中側に置く
  ・裏打ち紙の4cm幅の方の縁に沿って待針を打って固定する
   (上に新聞紙をのせるので斜めに打つ)
  ・帯状に切った新聞紙を裏打ち紙の間に挟む   
  ・2.5cm幅の食いさきのある方へ糊をする(中糊)
  ・新聞紙と一緒に裏打ち紙を起こし,八双袋用裏打ち紙を張る
 2)軸助け付け

  ・八双袋の4cm幅の方を軸先の方に折る
  ・折り目を正確に鉛筆の線に合わせる
  ・軸助け紙として裏打ち紙を幅3cm長さ6cm位のもの
   2枚つくる
  ・紙の三方を食いさきにする
  ・軸助け紙に糊を付け紙の中央が八双袋の折り線に
   くるようにし,切った紙の端が軸の端より1mm程度内
   側になるように張る(糊面は表裏どちらでも可)   
 3)軸袋付け
  ・軸の裏面の下から6cmの幅に線を引く
  ・裏打ち紙を軸幅より1mm(両側0.5mm)短く,長さを9cmにとる
  ・幅に当たる長い辺は上下とも食いさきにする
  ・八双袋に習って2.5cmと6.5cmに正確に二つ折りする
  ・折れ線を鉛筆の線に沿って2.5cmの幅の方を下に,線の中側に置く
  ・裏打ち紙の6.5cm幅の方の縁に沿って待針を斜めに打つ
  ・帯状の新聞紙を裏打ち紙の間に挟む
  ・2.5cm幅の方へ糊をする(中糊)
  ・新聞紙と一緒に裏打ち紙を起こし,張り付ける
  ・6.5cm幅の方を起こし折る
  ・折り線が鉛筆の線に合っているか確認する
 4)軸助け付け
  ・軸助けを八双に習って付ける
  ・裏打ち紙は3cm×12cm程度で三方食いさきにする



 


6.八双と軸木
 1)八双の用意
  ・軸幅と同じ長さに切断する
  ・端面を紙ヤスリで平にし,先端より1cm位まで0.1mmあつ程度ナイフで削る
  ・裏打ち紙を直径2.5cm程の大きさに食いさきで2枚作る
  ・裏打ち紙に糊をして端面をくるむように張り付ける
 2)軸木(九分)の用意
  ・軸幅より2cm長く切断する
  ・端より1cm内の円側の周上を深さ3mm程度切り込む
  ・ナイフと玄能で軸先の内経の太さにする
  ・ナイフで太さを調整する,緩くならないように
  ・接着剤を付けて軸先(九分)を付ける
 


7.総裏打ち
 1)紙取り
  ・総裏打ち用の紙を掛け軸の上下左右各2cmつ゛つ大きく裁断する
  ・下にくる縁は食いさきにする
  ・裏打ち紙が短くて数枚継ぐときは継目が表紙各部の継目と重ならないようにする
  ・継ぐときは継目は食いさきにする
  ・初心者は本紙にかかる部分での継ぎは避けたほうがよい
 2)総裏打ち
  ・作業板(板面ので方が良い)をよく拭き油気をしっかりとぬぐい去る
  ・掛け軸の裏にある鉛筆の印は消しゴムで消す
  ・新聞紙を敷き掛け軸の表を上にして置く,袋の部分に新聞紙の切れ端を挟む
  ・霧吹きにて水を打ち全体に湿り気を与える,八双軸袋部は袋をめくって中にも霧を吹く
  ・掛け軸を裏返し裏を出す
  ・裏からも霧を多めに吹きしかりと湿らせ継ぎ立て部は多めに八双・軸袋の中にも充分に吹き
   しっかりと湿り気を与える
  ・新聞紙を取り除き裏を上にして作業板の上に置く
  ・刷毛で空気を追い出しながら掛け軸を作業板に密着させる,伸びの悪いところは霧を吹き湿ら
   せながら行う
  ・周辺部の折った部分には充分に湿り気を与え作業板に密着させる
  ・裏打ち紙の表を上にしてのせる
  ・裏打ち紙は軸棒部の下部を下に5mm〜10mm程度出るように置く
  ・裏打ち紙を起こし糊ずけする,糊ずけは3〜4回に分けて1/3〜1/4づつ裏打ちする
   (充分に糊を引く)
  ・糊付けマットを移動するときはタオルできれいに拭いてから,下に新聞紙を敷く。
   敷いた新聞紙はそのままにして置いてもよい
  ・裏打ち紙を張るときには引っ張るようにしてピンと張る
  ・掛軸の両側(端折りした線)に約1cmぐらいの幅で中糊を付けるのも良い
  ・糊ずけ後全面に新聞紙を敷き打ち刷毛をする
  ・4〜5分後新聞紙を取り除き刷毛で再度撫で空気を押しだし密着させる
  ・このまま乾燥させる場合は急乾燥を防ぐため新聞紙等を上に敷く,さらに上に平らな板
   (ベニヤ板等)を乗せて置くのがよい
                -----------------                    
 ・仮張りを省略する方法では総裏打ち後裏打ち紙の周辺部を起こし掛軸に糊が付かないように
  中糊を付け接着力を増すようにするのも良い
   (作業板の化粧面での裏打ち時,板面での作業では水糊のみでよい)          



 


8.端の切り落とし
 1)総裏打ち端の裁断
  ・掛軸の裏面を上にし,裏打ち紙を掛軸の端より0.5mm〜1mm程度剥し折って行く
  ・折り目を爪やヘラで撫できっちり折る
  ・カツタ−の刃のみで折り目に沿ってゆっくりと押して切って行く

  

9.八双の取り付け 
 1)位置の決定と裏紙の裁断
  ・掛軸の裏面を上にして天の方を手前に置く
  ・八双袋を起こし鉛筆の線(袋の付け根の線)に沿
   って八双を置く
  ・八双をしっかりと押え上辺をヘラで表紙の裏面に
   折り線を引く
  ・ヘラを表紙の下にいれ起こしながら折る
  ・表紙を八双の上にかぶせながら丸みになじ
   ませる
  ・表紙を開き八双はそのまま押え袋紙をかぶ
   せ袋の上からヘラで八双の上辺の端をなぞり印をする
  ・袋紙を開き下に裁ち板を敷き印より1〜2mm内側を裁断する
 2)糊付け
 
  ・初めに表紙を張り後で袋紙を張る
  ・表紙の下に帯状の新聞紙を敷く
  ・表紙の裏面に幅1cm程度縁に沿ってコの字に硬い
   糊をつける(澱粉糊そのままをバタ−へらで塗る)
   (糊刷毛の使用もよい)
  ・八双を正確に置く
  ・表紙を八双にしっかり巻き付け糊付けする,まん中
   部分よりタオルを使って巻き付けて行く
  ・縁の部分は爪でしっかりと密着させる
  ・角材を八双の上に置き動かないようにし,袋紙の方
   にも糊付をする
  ・帯状新聞紙を袋紙の下に敷き袋紙にも硬い糊をコの
   字につける
  ・角材を取り除き袋紙を表紙を張った八双の上に中央部より張って行く
  ・タオルでしっかりと押さえる

 

 


10.軸棒の取り付け   
・掛軸の裏面を上にして地の方を手前に置く
  ・軸袋を開き表紙と袋紙の下に帯状の新聞
   紙を敷き,硬い糊を八双の時に習って縁
   に沿ってロの字につける・角材を袋の付け
   根の線に合わせ表紙の上に置く,この時
   材に糊が付いても構わない
   (材の下にマッチ棒の様なかいものをして
       もよい)
  ・軸棒を角材に沿って置く
  ・軸棒を袋紙の上をころがし端を糊付けし
   戻しながら袋紙を巻き付けて張る
  ・袋紙の糊付けを確認し角材を取り除く
  ・軸棒を押さえつけながら表紙の上に転がし巻き付ける
  ・糊がはみ出すので拭き取る, 特に作業板に付いた糊はすぐに拭き取ること
 ・しわが出ないように注意し,タオルで押さえる
  ・裏打ち紙が剥げて浮いたときには糊をさす


11.鐶(カン)の取り付け   
 1)位置決め,釣り釘打ち 
  ・八双の上縁を3:4:3に分け印をする
  ・中央の40%部分に掛け紐が付く  
  ・上縁よの6mm程度内側に印をしキリで小穴を開ける
  ・木台の上に八双の平の面を垂直に置く
  ・座金を置き釣り釘を玄能で打ち込む,釣り釘の合わせ
   目が後ろ側に来るような方向に打つ
 
12.紐の取り付け 
  
 
     1)掛けひもの取り付け
      ・掛けひもはピンと張る
     2)巻ひもの取り付け
      ・巻ひもは左右に移動できるようにするので固く結ばない
      ・紐の長さは100cm〜130cm程度
 
13.裏摺り
  ・掛軸の裏面全体にパラフィンを塗る
  ・作業は片手で,掛軸を押さえていると作業時に軸の端に当たったとき軸を傷つけてしまう
  ・数珠(袋にいれたビ−玉)で裏面を小さな円を描くように摺っていく
  ・この作業も片手で行うこと(一往復)
  
14.掛けならし
  ・完成後しばらく掛け下げて置くことがよい
  ・しばらくは固く巻かない
 
15.紐の結び方  
  ・巻いた掛軸の上を3回巻き,残りを2重にし掛け紐の片側の下を通し巻いた紐の上を通り,
   掛け紐の片側の下に通す



 



 色紙掛けの寸法
  

 表装用具及び材料 
1.用具
  1.刷毛類・・糊刷毛(平刷毛)1本 ・・つけ回し刷毛(平刷毛)1本
     ・・水刷毛(80mm程度)やわらかな物 1本    
     ・・撫で刷毛(80mm程度)やや固め  1本
  2.叩き刷毛・・毛の硬いブラシ(洗浄用デッキブラシで可)
  3.台マット,糊台・・床用ビニ−ルマット2m 1枚,60cm 1枚
   または・・化粧板90×180mm 1枚とビニ−ルマット60cm1枚
          裏にベニヤ板(シナ6mm)を張るとベタ−
  4.糊・・肌裏打ち用水糊(科学合成糊C-10 43gを1.8リットルの湯で
     溶いたもの)
   ・・仮張り,継ぎ立て用澱粉糊(障子貼り用を2倍にゆるめる)
  5.糊器・・刷毛が入る大きさのタッパ 2個     6.霧吹き・・1個
  7.たおる・・2枚           8.カッタ−ナイフ・・大 1本
  9.鋼尺,カット定規・・1m 1本, 1.8〜2m  1本
 10.ナイフ・・紙切り用(果物ナイフで可) 1本
      ・・折り筋付けよう(洋食ナイフ) 1本
 11.バタ−ナイフ・・1本         12.巻尺・・2m以上 1個 
 13.はさみ・・1本             14.千枚通し・・1本  
 15.まち針,画鋲(足長)・・各数本   16.新聞紙・・ 数日分(各作業ごと)
 17.糊保存瓶・・肌裏打ち水糊用1.8〜2リットル型
 18.鋸(レザ−ソ−)            19.繰小刀     20.キリ(四つ目キリ)    21.玄能
 22.ボンド(木工用)           23.紙ヤスリ#180〜240 少々
 24.パラフィン               25.数珠(ビ−玉50個程をビニ−ル袋に入れて使用)
 26.木台(50×40×500 程度)
 27.
 
2.諸材料 etc       価格は平成初年度頃のもの
 1.拓本関係                 
  ・画仙紙(清風箋)  大(3尺×6尺)      ¥320
   〃   (白鳳箋)  中               130
   〃   (  〃  )  小               120
 
 2.表装関係
 ・肌裏(祇園)   厚1巻60m(1m×60m)    11,700
   〃         〃    (76cm×60m)   9,900
   〃         中    (76cm×60m)   9,000
   〃         薄    (76cm×60m)   8,100
 ・大唐紙        厚  80cm×140cm      135
   〃         中    〃            125
   〃         薄    〃            115
 ・どんす紙      柄                  430
   〃         無地                320
 ・一文字                          380
 ・軸棒         8分  6尺            630
   〃         9分                700
 ・軸先         8分                 65
   〃         9分                 65
 ・江戸鐶(カン)                        25
 ・沢木ひも      1巻(30m)            900