東メボン East Mebow
ヒンドゥー教(シヴァ派)

ヤショーヴァルマン一世が造った東バライ(貯水池)に、952年にラージェンドラヴァルマン一世が シヴァ神と祖先に捧げて建てたのが東メボンである。 均整のとれたピラミッド型寺院の東メボン。この寺院は、大人工湖・東バライの中心部に建設された。 今では水は涸れているが、かつての水に浸かっていた寺院部分が変色しており、往時の水位が窺われる。 人造湖に浮き上がった姿は、その当時のアンコールの農民の心を和ませたに違いない。 「ゴールデンマウンテン」と呼ばれていたそうです。 一直線の石段を上と、、祭壇にでる。主祠堂を中心に、四方の隅に小祭壇がある テライトの基石が三層に積まれて基壇を構成し、祠堂は煉瓦で組み合わされ、装飾用の扉や柱、 偽窓、門の秣(まぐさ)には砂岩が使われ、漆喰の化粧が施されていた 基壇を取り巻く外周壁は東西108m、南北104m (画像クイックで拡大可)


美しい三層のピラミッド型でその均整の取れた美しい姿は、コー・ケー時代の建築様式の代表といわれている
レンガ、砂岩、ラテライトと、クメール建築の三大建材が使い分けられている


基壇部の大きさは東西126m南北121m、四隅には砂岩で出来た象が立っている
カビによって黒く変色した石造りの等身大の象 (画像クイックで拡大可)


東正面は、神象に乗ったインドラ神。北面は、背中合わせに立つ2匹の獅子の上で合掌する神像
西面には大蛇ナーガ、神鳥ガルーダや、ブラフマー神、南面はシヴァ神を乗せた、聖牛ナンディンが描かれている


祭壇の入口の上框に刻まれた図や模様は克明で美しい

 
煉瓦作りの祠堂の壁面には無数の穴が開けられているが、これは漆喰を付きやすくするためのものといわれている
建材として使用されているラテライトは、その鮮やかな紅色が光を受けて真紅に輝き、
完成した当時は「燃える山」と呼ばれていたという  (右画像クイックで拡大可)

 
東メボンは東西7km、南北2kmの大貯水池である東バライの中心にある寺院
現在は水が涸れてしまっているが、当時は巨大な貯水池に浮かぶピラミッド型寺院であった

この巨大な貯水池によって、当時のアンコール平原はほとんどが水田化され米の二毛作が可能となり、 アンコール王朝に大きな富をもたらした。